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3Dアプリでのカメラ
Adobe After Effects や、Blender 、Unity などの3D対応アプリでは、3Dオブジェクトを自由な角度から見られるよう、アプリ内にカメラオブジェクトが用意されています。
インタラクティブ性の無い2D動画にレンダリングする場合には、このカメラからの視界がレンダリングされます。
したがって、カメラの動き=カメラワーク に関しての用語を押さえておくことは、正しいカメラワークの再現のために、重要です。
カメラワークの種類
「カメラワーク」という言葉には、カメラ自体を動かす純粋なカメラワークと、ズームやフォーカスのようなレンズワークが含まれます。
ここでは、レンズワークは扱わず、カメラ自体を動かす純粋なカメラワークだけ取り上げます。
カメラ自体を動かす純粋なカメラワークには、以下のような種類があります。
追跡系
- トラック
- フォロー
非追跡系
- フィックス
- チルト
- パン
- ドリー
- サークル
各カメラワークの詳細
追跡系
トラック – track
英語の track は「追跡」という意味です。カメラワークとしてのトラックも、文字通り、被写体と一定距離&一定アングルを保つように追跡します。
バラエティ番組で使われる、ヘルメットにアームで固定した、自撮りGoProのようなイメージです。
背景が流れていくので、被写体のスピード感が伝わります。
フォロー – follow
フォローも追跡ですが、トラックと違い、カメラは移動させません。監視カメラのように定点から、常に被写体を捕捉するように、向きだけを合わせます。
カメラだけの動きで言えば、非追跡系のパンと同じ動きなので、フォローパンとも言います。
非追跡系
フィックス – fix
カメラを完全に固定するのが、フィックスです。定点観察カメラのようなイメージです。
背景が固定されるため、被写体の動きが強調されます。
チルト – tilt
チルトは、位置を固定したカメラの、上下方向の首振りです。大抵の三脚で可能な動きでありながら、よくある正面の映像と、上空や地面などのイレギュラーな映像とをスムーズにつなげて、見る人の興味を惹きつけます。
パン – pan
パンは、位置を固定したカメラの、左右方向の首振りです。最もよく使われる、知名度の高いカメラワークです。
pan の語源は、パノラマ – panorama から来ていると言われています。確かに、左右方向にゆっくりカメラを振ることで、周囲の全景を見渡すことができます。よって、パンは、近くの被写体よりも、全景を知ってもらいたい時に使えます。
また、被写体が視界に入らない角度から、背景をパンで映しつつ、最後にちょうど被写体が視界の中心になった時に、パンを終えることで、被写体のいる環境を描写するなど、オープニングシーンにもよく使われます。
なお、Adobe Premier Pro でも、パンという言葉が出てくることがありますが、こちらはたいてい、カメラワーク以外の用語として派生した、以下の二つの意味になります。
動画編集用語
動画編集用語としてのパンは、ズームと合わせて使われます。クリップをズームアップすると、画面の一部分だけがクローズアップされ、それ以外の部分は画面外になります。その時、画面内のクローズアップする部分を、モーションとして変化させることをパンと言います。結果的には、カメラワークのパンに似た効果が出せますが、カメラワークのパンと違い、回転ではなく、平行移動なので、ドリーとほぼ同じになります。
音響用語
ステレオで立体的な音声を再現する時に、左右に音声を振ることをパンと言います。カメラの代わりに、マイクをパンするイメージです。
ドリー – dolly
ドリーは、カメラ自体を水平移動させるカメラワークです。
ドリーは元々、カメラやカメラマンを載せて動かす台車のことです。そこから、ドリー撮影、転じてドリーというカメラワークを指すようになりました。
ドリーで、被写体を追跡することも多いですが、直進する被写体に合わせて、カメラも並行して直進する場合は、トラックのカメラワークになります。
逆に、並行直進以外では、あまりドリーで追跡することはありません。
サークル – circle
サークルは、常に被写体にカメラ向け、被写体を中心にカメラを周回させるカメラワークです。「サークルショット」と、ショットを付けて言うことが多いようですが、他の全てのカメラワークでも、同じように●●ショットとも言うので、ここでは他に合わせてサークルとだけ表現します。
逆パノラマで、被写体を、よりクローズアップした表現として使われます。
まとめ
カメラワークにも、いろいろあることがおわかりいただけたと思いますが、これでもまだすべてではありません。
細かい動きの違いや、複数のカメラワークの組み合わせ、レンズワークや、他の演出効果との組み合わせも考えると、「表現」に際限はないことがわかるでしょう。
ここでは、有名なカメラワークについてだけ、まとめましたが、これらの基本を押さえた上で、応用に取り組んでいただけると良いと思います。